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祝福のアリア f.p.i


 ホルマジオは女にモテることは一通りこなす。つまり料理がうまいし歌もうまい。エスコートも上手だしサプライズの演出も得意だ。元から器用なのと、あとは努力のたまものだとか。
「誕生日なんか忘れたフリして、なにくわぬ顔で女を迎えるんだ。女はとうぜん機嫌が悪くなる。そこでサプライズ。電気をつけたらテーブルには手作りのディナーを並べておいて、驚く彼女へ愛の歌を歌いながら、ちょっとした手品でドルチェからプレゼントを取り出す。女は言う。ああ、最高だわ!あなた以上の男なんて知らない、ってなァ〜〜」
「ずいぶん安上がりな女じゃねえか」
 プロシュートの言葉にホルマジオはその通りと笑う。
「安くあげんのも重要なことだ。祝ってやんのはその一人だけじゃあねーんだからな」
「あんたの一番尊敬できるとこは器用さよりそのマメさだな」
 プロシュートのとなりで両肘を立てて頬杖つくイルーゾォは、まぶたを半分落として呟く。ホルマジオの主義主張は基本イルーゾォとだいぶ遠いところにある。
「あ〜あ〜あ〜辛気くせえなぁオメーら!歌ぐらい歌うだろォ〜?ふつうよォ」
「女にか?」
「女に」
「歌わねえ」
「わかったオメーは歌ってもんを知らねえんだなイルーゾォ…同情するぜ……プロシュート、オメーはわかるだろ?」
「アリアとかオペラとかしか知らねーからな。歌いはしねえよ」
「歌えばいいじゃねーか。アリアにオペラ!最高だね」
 言いながら誰作曲のどの歌とかひとつも挙げないということは、ホルマジオはそっちの分野には疎いらしい。どうせ知りもしねーんだろうと思いながらもプロシュートは何も言わず紅茶を傾けた。先日の、煙草とティータイムを楽しむ会の残りの茶葉だ。
 イルーゾォはすでに紅茶を飲み終わっている。だから少し眠たげだった。2人に食後のティーを提供したのはホルマジオだ。というか、昼と夕方の間というこの中途半端な時間帯に、わざわざ彼ら2人のために食事を作ってやったのもホルマジオだ。ちょうどいい、新しいレシピ試してぇからオメーら食って査定しろ、とのことだった。
 手間かけてまで男に飯を食わせてやるのは馬鹿らしいが、女に食わせてやる前に試食を行うのもまた、ホルマジオのマメさを表している。
 だから、なんだかんだ言いながら、プロシュートもイルーゾォもおとなしくテーブルについたまま、ホルマジオの『モテる男の談義』に付き合っている。世の中ギブアンドテイク。飯を与えられ、時間を奪われる。
「それで?オメーら、飯のほうはどうだった?」
「うまかった」
「そんなこたァわかってんだよォ〜俺がつくったんだからな。もっとここはこうしたら的なコメントはねぇーのか。はい次イルーゾォ」
「しょっぱい」
「オイオイオイオイなんなんだオメーら。字数制限でもされてんのか?5文字以内で答えろとか?もっと言葉を駆使して伝えてくれ!たのむから!」
「そもそもこの偏食のかたまりに飯の評価させんのがまちがっちゃいねーか」
「うるせーあんただって酒と煙草かっ食らってばっかだろ」
「こうゆうのは好き嫌いが激しい奴のがいいんだよ。食いしん坊のほうが料理は上手ってな。オメーらはとくに味覚がバカってゆうか信用できねぇから、極論として意見を聞きてえんだ」
「喧嘩売られてるとしか思えねぇ」
 紅茶のカップをソーサーに叩きつけるように下ろしたプロシュートの横で、イルーゾォは思わず鏡の中に逃げ込む体勢をとった。プロシュートのスタンドが発現したら0.2秒でこの場を脱出しなければならない。
 一気に緊張感の高まった空気を払うようにホルマジオがパンッ!と両手を叩く。それから場違いなほど陽気に笑えば、もうペースはホルマジオのものだ。
「まーそうツンケンすんなって。甘いモンがたりてねぇみてーだな?」
 一度キッチンに姿を消し、ふたたび戻ってきたホルマジオは、お盆のうえにちょっとしたドルチェをのせてきた。ひとくち大のクッキーは粉糖をふりかけた簡単なものだが、ミラノ伝統のリキュールで風味付けされていて、十分に香り高い。
「まさか中から指輪が出てきたりしねーだろうな」
「んなもったいねぇことするかよ」
 イルーゾォの言葉を笑い飛ばしてから、ホルマジオは甘いものが足りてないらしいプロシュートに向けてクッキーののった皿を差し出した。
 そして不意に、歌いだす。
「…タンティ・アウグリー・アー・テ〜〜♪」
 ハッピーバースデーソング。
 女にほめられるという低い声で、ホルマジオは歌う。突然のことにプロシュートもイルーゾォも目を丸くした。
「タンティ・アウグリー・アー・プロシュート〜〜〜〜♪」
 メロディーにのせ、クッキーの皿をプロシュートの目の前に置く。
 プロシュートは目を細めてそれを見つめた。口元には微笑が浮かんでいる。
「…Grazie」
「誕生日なのか?今日?」
「いや別に」
 イルーゾォはついてた頬杖をガクッと崩してテーブルに突っ伏した。ホルマジオはひゃひゃひゃと笑っている。こうやってチームの年長組の連中は、ときどき彼らだけのよくわからないノリを発揮する。
「わかったか?これが女に対する作法だぜ、イルーゾォ」
「わかるわけがねェー…」
「うまいなコレ」
「オメーはほんとそれしか言わねーな!それでなんで黙ってても女が寄ってきやがるんだァ〜?見た目か?そんなに見た目がだいじか?俺も髪伸ばして後ろで3つ4つにくくってみるか?」

atogaki

バースデーソング歌うけどべつに誕生日じゃないってのの元ネタは西炯子のSTAYです
とにかくマジオにーやんはモテるよ!という主張
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