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理性あるひと all


 ギアッチョとイルーゾォが宅配ピッツァのチラシを眺めながらあーだこーだしゃべっていると、ホルマジオが外から戻ってきた。
「よォ。ピッツァ頼むんだけどよォ~おめーも食うか?」
「ついでに奢ってくれたら助かる」
 いつもならオイオイオイおめーらなァと調子を合わせてくるはずが、ホルマジオはふたりを一瞥し重苦しいため息を吐いて、
「いらねぇ。金がたりねーならリゾットに言って前借りしろ」
 そのままシャワールームへと消えていった。
 思わずギアッチョとイルーゾォは顔を合わせる。
「なんか機嫌悪くねェーかアイツ」
「腹でも減ってんじゃねーの」
 チームの良心と称されるホルマジオにだって機嫌の悪い日はある。任務で捕えた女を拷問して殺した日なんかはとくに。拷問という行為自体に嫌悪や罪悪感はなくとも、女を殺すのは気持ちのいいもんじゃない。
 ホルマジオがシャワールームの扉を開けると、脱衣所でメローネが髪を乾かしているところだった。
「Chao。シャワー使うのか?」
「ああ」
 頭をがしがしと拭ったタオルの合間から片目をのぞかせ、メローネはホルマジオを見て、すぐに口元を歪めた。その笑い方は邪悪だ。意地悪で、それに笑っててもどこか冷めてる。
「ひでー顔してやがる。女でも殺したかよ。あんたすぐ顔にでるなぁ」
「余計な口叩いてねーでさっさと出ろや。察しの通り俺ァ気分悪くてなァ~~」
 ホルマジオがメローネのむき出しの肩をぐいと押しのけると、メローネはその手を荒く払って洗面台の上におかれたマスクに腕を伸ばした。全裸のくせにまずマスクから身につけるとはますます変態らしさが増す。
「女のひとりやふたり殺したぐらいで、なにセンチメンタル気取ってる。くだらねーな」
「やかましいぞオメーはやく失せろ」
「拷問の任務が嫌なわけじゃあねーよなぁ?あんたのあのくだらねー能力が役立つ唯一の機会なんだからな」
 ホルマジオは我慢強い男だがキレたら容赦は一切しない。
 シャワールームで盛大な破壊音が響いたので野次馬根性でギアッチョが覗いてみると、ホルマジオが服を脱ぎながら「シャワー入んだから出てけよ」と言ってカーテンをシャッと引いたところだった。脱衣所には脱ぎ捨てられた服と靴と、コップやらドライヤーやらが落下して床に散乱している。
「なァーに荒れてやがんだホルマジオのやつ」
「つーかメローネは?さっきシャワー入ってくるっつってなかったか?」
 洗面台の鏡の中からイルーゾォが顔を出す。そんなことすっかり忘れていたギアッチョだったが、たしかにメローネの姿が見当たらない。しかもメローネの服は脱衣所のカゴに放り置かれたままだ。
「あのヤローまた服着ねぇでそのへんウロウロしてんじゃあねーか?次俺のベッドで全裸で転がってやがったらマジで顔面ブチ割ってやるぜ……」
 結局ギアッチョはイルーゾォと途中で帰ってきたペッシも道連れに宅配ピッツァを注文し、シャワーから出てきたホルマジオがやはり機嫌の悪いまま自室に引っ込んだ頃、寝起きのプロシュートが上のフロアから降りてきた。
「うぇ……なんの匂いだ…」
「チェレスティーナのピッツァ。やらねーぞ、俺らの分しかねぇからな」
「いらねぇよ、匂いだけで吐きそうだ」
 二日酔いらしく乱れた髪をかきあげながら、プロシュートはマルガリータを囲むギアッチョらに適当に手を振って洗面所へ向かう。
 なぜか脱衣所がやけに散らかっている。いつものことだ。顔を洗いたくて洗顔クリームを探したが、日頃は洗面台の上にシェービングクリームといっしょに並んでるのに他の缶や瓶もろとも見当たらない。
 プロシュートは舌打ちひとつ、寝てる間にむちゃくちゃになった髪を乱暴にほどいて、蛇口をおもいきりひねった。勢いよく流れる水に頭から突っ込み、そのまま顔をばしゃばしゃと洗う。
 うつむいて目をつむったまま、タオルを取ろうと手を伸ばしたが、いつもの場所にあのやわらかい感触はない。床に落ちたか?仕方なく目を開けて、額からしたたる水滴をぬぐいながら屈みこむと、洗面台の下に洗顔クリームが転がっていた。
 遅ぇよ…。もうひとつ舌打ちをくりだして、でもせっかく見つかったんだからと缶を拾いあげ、平たいフタをくるくる回すと、白いクリームの中からなぜかミニサイズのメローネが頭を出した。
「ブハッ!助かった、もうちょっとで窒息するとこだった!」
「何してやがるんだオメーはよォ」
 指の関節ひとつ分ぐらいしかないメローネは、頭から先っちょまでクリームまみれで、そのうえ服を着ていない。全裸だ。なのにマスクはつけている。変態かこいつは。
「ホルマジオの野郎だよ。あいつ至近距離でリトルフィート出してきやがって、おまけにこの中に閉じ込められた。マジに死んじまうかとおもったぜ…」
「何言ってあいつを怒らせたのかしらねーが、自業自得だ」
 それよりもこのクリームはもう使えない。全裸のメローネが浸かっていたと思うとゾッとする。すでにクリームの成分がなにか妙なものに化学変化してそうだ。
 俺のせいじゃないアイツが勝手に機嫌悪かったんだとメローネは文句を垂れているが、どっちにしろメローネを元のサイズに戻せるのはホルマジオだけだ。いいから謝ってこいと洗面所からつまみだすが、服を着てないと騒ぎだした。
「いつも裸でウロウロしてるくせに今更なんだっつーんだよ」
「馬鹿かアンタ、こんなちっこい体で裸のままいてみろよ、菌やウイルスに侵されやすいし、そうでなくてもホコリが体にまとわりついて気持ち悪い」
「もういっぺん言ってやろうか?自業自得だ。くだらねーこと言ってねぇでさっさとホルマジオんとこ行ってこい」
 結局洗面台に置いてあったギアッチョのメガネふきをマントのように羽織り、メローネは上階へと向かっていった。あの格好見られたら今度はホワイトアルバムに殺されるんじゃないだろうか。
 それにしてもホルマジオがスタンドまで出すとはたしかに珍しい。お得意の頭突きを繰り出してくることはよくあるが、基本スタンドをチームの連中には向けない奴だ。ちなみにスタンドをチーム内の喧嘩で使うのはプロシュート、リゾット、ギアッチョである。
 妙な好奇心を刺激されて、プロシュートも上階へ向かった。階段の途中でえらく苦労しながら段差をのぼろうとしているミニメローネを一応回収してやる。
「あんたは俺を見捨てないとおもってた!」
「俺はホルマジオに加勢するぜ」
 プロシュートの手の中でミニメローネが中指を立てる。握り潰してやろうかと思ったが、手のひらに体液やなんやかやが付くのはごめんだ。グレイトフルデッドを出せばこんな小さい体など、0.3秒で道端の枯れ枝より無惨な姿になる。そんなことを分かっていてなお自分の気に入らないものには中指を立てるのがメローネだ。そうとう賢い馬鹿だ。
 ホルマジオの部屋の扉の前でリゾットと鉢合わせた。
 リゾットの目線はすぐプロシュートの手の中へ向けられる。
「なんだそれは」
「ひどい言いぐさだなァ…話すと長いワケがあるんだよ」
「この馬鹿がホルマジオを怒らせたらしい」
「なるほど。話すと長いワケだな」
 リゾットからの嫌味を食らってメローネはさすがに黙ってしまう。
 多少は反省したのかとおもったが甘かった。リゾットがノックして、扉を開けたホルマジオに、プロシュートの手の中にいるメローネはファックサインを突きつけた。やっぱり馬鹿だ。

atogaki

ホルマジオを怒らせてみたかった(私が)
チーム内でマジオにーちゃんをマジギレさせるんならメローネやろうなという考察
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