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この世でいちばん高価なもの all


「この世でいちばん高価なものはなんだと思う?」
 クリームソースのペンネをフォークの先に上手にハメたメローネが、魔法使いの杖のようにフォークをくるくる回す。
「やめろテメェーソースが飛び散るだろうがッ!」
「ジェントリーウィープスで固定しなよ」
「とんだスタンドの無駄遣いだなァオイ」
「腹いっぱい食うためにリトルフィートでちっちゃくなって飯食うアンタには言われたくないだろ」
 10センチ大のホルマジオを横目にイルーゾォはまだ前菜のサーモンのカルパッチョをつついている。思いのほか食べるのが遅い。あまりに遅いのでたまに店に置いていかれることもある。
「どーだっていいけどさ、俺の質問聞いてた?」
「あァー?聞いてた聞いてた」
「よォーし復唱してみろイルーゾォ」
「なんで俺が!?俺関係ないだろ!」
「いちいち鏡に逃げてんじゃねェーッ!テメェーは早く飯を食えッ!」
「『ジェントリーウィープスで固定しなよ』だろォ〜?」
「そこじゃないそこじゃない」
 昼下がりのテラスには容赦ない太陽光線がふりそそぐ。それをまるで吸血鬼のように毛嫌いして、メンバーはホール端のテーブルに陣取っていた。客の姿は彼ら以外にひとりもない。客も、店の者も、ひとりも。
「この世でいちばん高価なものはなんだっつう話だよ。ハイじゃあホルマジオから。意見言って」
「あー?しょぉーがねぇなぁ…そりゃあ金じゃねぇーのか?」
「ちがうね、ぜってェーちがうッ!金は相場で変動するだろォーがッ」
「なるほど。じゃあダイヤモンドとかも」
「許可しない」
「俺はおまえの食べ残しを許可しない」
「やめろォ!レモンのかかったトマトは嫌いなんだ!」
「おいメローネ、あんまりいじめてやんなよォ?余計イルーゾォが飯食うの遅くなるだろォーが」
「ディモールト正論だぜ」
 ギアッチョはさっきから苛々と水の入った瓶を人差し指で叩いている。会話がちっとも進まないせいだ。いつもの事といえばいつもの事だし、だからギアッチョもいつも通り苛々している。
「イルーゾォの野郎とレモンのかかったトマトはどーだっていいんだよォ、金や石ッコロは相場で価値が変動するからダメ、じゃあ何がいちばんだっつぅーんだ?クソッ、くだらねェ質問だが正解がハッキリしないのは余計イラつくぜッ」
「メローネおまえはなんだと思うんだよ?」
「そうだな…むずかしい質問だが」
「テメェーが言い出したんだろォーがッ!!」
「キレんなよォ〜ギアッチョ」
「絵画とか彫刻とかじゃあないのか?」
「いいとこつくね、イルーゾォ。けど今俺がしゃべってんだよ黙れ」
「ヒィッ!フォーク!刺さってる刺さってるゥッ!」
「たしかに美術品は時間がたつほど高値がつくこともあるよなァ。死んでから価値がでる画家も多いことを考えると妥当かもしれねーぜ」
「相場が変動するって意味じゃあ金や宝石と変わらないとおもうが」
 その瞬間、テーブルにつく全員の目が一点にそそがれた。
 つまり、突然会話に割って入った、カルボナーラをグッチャグチャにかき混ぜているリゾットに。
「食い方汚いリーダー」
「これがいちばんうまいんだ」
「カルボナーラの半熟卵ってのはよォ、もっと女扱うみてーに繊細に扱うべきモンじゃねぇーのか?」
「グッチャグチャのドッロドロ。リーダーの女性の扱い方が目に見えるようだ」
「黙ってろ素人童貞」
「リーダーって丼とかもぜんぶ具材ごと混ぜちゃうタイプだろ」
「それがいちばんうまいからな」
「わかってねぇなァ〜〜見目の美しさも大事なんだよ料理ってのはよォ。三色丼は三色だからこそ三色丼だ、それを混ぜちまったら三色っつーかただのミックス丼だろうがよォ。だいたい三色ってなんだ三色って、ライスの白合わせたら4色あるじゃねーかクソッ」
「丼ってのは上にのっかった具材がメインだからライスは色に換算しないんじゃあねーの」
「そんなわけあるかッ!ライスあってこその丼だろォーがッ!」
「それであんたはなんだと思うんだ?この世でいちばん高価なもの」
 地鳥のマリネを頬張っていたせいで油ぎったフォークをホルマジオがリゾットに向けたことで、再びみんなの視線が黒ずきんの男に集まった。
「人間だな」
 そしてその回答に全員の目が点になった。
「マンマミーア!」
「意外!それは人間」
「マジかよ?」
「人間ほど尊いモンはねえってか?」
「リゾット・ネエロともあろうモンが…見損なったぜ…いやここは拍手喝采すべきところか?」
「オーブラボー」
 よくわからない拍手まで受けてしまったリゾットだが、本人はとくに気にする様子もなく、グチャグチャに混ぜたパスタを丹念にフォークにからめとった。
「単純に考えて腎臓ひとつ売れば30万ほどになる。健康体ならなお高い。生死を問わないとして人間の体からはぎ取れるものすべてはぎ取れば、心臓肝臓食道胃腸、網膜頭髪各部皮膚、全身にわたってかなりの価値だ。人間社会という価値基準をもとに考えるなら、金や芸術品みたいなモンよりよっぽど安定した高値が期待できるだろう」
「てめーそれは食事中にする話か?リゾット」
 さっきとはちがう意味で目が点になっていた全員の心の中を代弁したのは、ようやく現れたプロシュートだった。背後にいつも通りペッシもいる。
「おー遅かったじゃねーかよ」
「待ちくたびれたぜ。テメー順番的にはメローネより先に着いてるはずだろォーがよォ」
「うるせぇ。このマンモーニが体バラバラにされちまったせいで、ぜんぶ拾い集めんのが大変だったんだ。川に流されて魚に食われちまうところだったぜ」
「ごめんよォ兄貴ィ…」
「おめーはいつまでたっても手がかかるなぁ、ええ?ペッシよォ」
「なに食べる?プロシュート。タダでいくらでも食べれるぜ」
「ハッ、タダだと?まるで天国じゃねーか」
「まったくだ」
 プロシュートとペッシが席についたところで、リゾットが食前酒のグラスを掲げた。
「乾杯しよう」
「いいな」
「何にだ?」
「俺たちチームに」

あとがき

チンチン☆
下ネタじゃなくてイタリア語では乾杯の時チンチンってゆうらしいです
ほう。なるほど
イタリア旅行にいったとき覚えた言葉は
マンマミーアとブラボーとウーノ、ドゥーエ、でした
食事の風景をえがくのは家族や故郷の肖像のようにおもいます
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