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白と黒 r.m.g.p


 一番最初の『殺し』はなんだったか?
 という話をしていたのだった。そこでリゾットが答えた。
「牛だ」
「牛ィ?」
 意外な答えにギアッチョが声をあげる。ソファに座るメローネも顔を上げた。
「さばいたってこと?アンタ、料理人だったのか?」
「いや。病気にかかった牛がいて、人を襲ったんだ。銃で牛を撃った。それが最初の『殺し』だった」
「へェ〜意外だったぜ。アンタのことだからきっと、どっかの国の大臣とか石油王とかそうゆうのだと思ってた」
 ギアッチョの中でリゾットのイメージがどうゆうことになってるのか疑問だが、リゾットは組織で随一の暗殺者と呼ばれている。その最初の相手がまさか牛とは誰も思わないだろう。妙に牧歌的だ。
「リゾットと牛…ってよォ〜なんか合うよーな合わねぇよーなだな」
「『ファラリスの雄牛』ってんならわかるけど」
「なんだそりゃ?」
 メローネは読んでいた雑誌をとじ、ギアッチョの方を向いて「知らないのか?」と小首をかしげた。
「古代ギリシャ、シチリアの君主ファラリスが、ある芸術家に考案させた拷問道具さ。金属製のおおきな牛の外見をしていて、胴体の中に人を入れて閉じ込め、牛全体を火であぶる」
「ゲェ〜」
「聞いたことはあるな」
 コーヒー片手に立ったまま、リゾットが軽くうなずく。
「なんで牛の形してるんだよ。別にハコでもなんでもいいじゃねーか。不条理だぜ」
「中に入れられた人間の悲鳴が反響して、牛が吠えてるように聞こえるからだ。普通、火事なら、空気がなくて意識を失うから焼け死ぬ苦しみは少ないらしいが、この拷問の場合、牛の口から空気が入り呼吸ができてしまうから、意識を失うことなく焼け死んでいくのを味わうらしい」
「ゲエエ〜趣味悪ィーぜ」
 ごく真っ当な反応を示すギアッチョに、リゾットは肩をすくめてみせる。
「古代中世の拷問道具は見せしめ目的だからな。残虐であればあるほど、民衆は震え上がるし盛り上がる」
「考案するヤツも考案させるヤツもイカれてんだよ。結局『ファラリスの雄牛』の最初の犠牲者は、考案者の芸術家ベリロスだった。考えさせたファラリス自身も、のちにこの拷問方法で殺されてるって話」
「馬鹿みてーな話だな」
 床に敷いたラグにあぐらをかいてソファに頬杖をつくギアッチョは、手元のアメリカンコミックを適当にめくっては放り投げる。コミックにも拷問にも興味がないのだろう。どっちも話半分の様子だ。
「じゃあギアッチョ、もしおまえが誰かを拷問しろってゆわれたら、どうゆう方法をとる?」
「ああー?めんどくせーな拷問なんて。指の先っちょから徐々に凍らしてやるとかか?」
「それはおすすめできない。凍傷は麻痺るとたいして精神的ダメージを与えられないからね。拷問のキホンは、身体的ダメージは低く、精神的ダメージは高く、だ。火責め水責めより言葉責めの方がよっぽど効果があるのさ」
 なぜかメローネ講師による拷問講座が始まりそうになって、ギアッチョは助けを求めるようにリゾットを見上げた。リゾットは何気なくコーヒーを一口すする。
「そもそもなんの話をしていたんだ、ふたりで」
「ああ、そうそう、最初の『殺し』の話。知ってるかリゾット、ギアッチョの最初の相手は警官らしいぜ。いかにもギャングってかんじ」
 笑い声をあげるメローネを見て、ギアッチョはリゾットのおかげで話をそらすことには成功したものの、おもいきり馬鹿にされてる気がして(実際されている)、脳の血管を1、2本ブチ切った。
「テメェー馬鹿にしてんじゃねぇぞクソが!!!凍らせるのが拷問に不向きかどーか、今すぐテメーで試してやるぜ!!!」
「は、おまえにできるのか?ギアッチョぼうや」
「ほどほどにしとけよ」
 臨戦体勢のギアッチョとソファで悠々と足を組むメローネを眺めつつ、リゾットはとくに止めるそぶりもなくまたコーヒーをすすった。もう一杯欲しいところだ。
 その時、ドアの向こうで、革靴がタイルを蹴る特有の足音。怖い人のお出ましだ。
「オイそこのヒマそーなガキども、どっちでもいいからエスプレッソ」
 扉を開けたと同時に命令をくだしたプロシュートに、ギアッチョはゲッと顔を歪め、メローネは素知らぬふりで閉じていた雑誌を開いた。リゾットは元からプロシュートのターゲット範囲外。結局ギアッチョが相手をするはめになる。
「なんだァーテメー帰って早々王様気取りかよ、ええ?エスプレッソぐらいテメーでいれろテメーで!」
「ああ?俺ぁ見てのとおり忙しーんだ。昼間っから働きもしねーでコミック本散らかしてる野郎が?仕事こなしてチームのために賃金稼いできた俺に?反論するつもりか?馬鹿?」
「いっちいちムカつく言い方してんじゃねー!ならテメーの弟分にいれさせりゃいいだろーが!」
「おめーも俺のかわいい弟分じゃねーか」
「なんだって!?なんか今ものすごく恐ろしい言葉が聞こえたぜ!?俺の幻聴か!?」
 思わず頭を抱え込むギアッチョをよそに、メローネは読んでもいない雑誌から顔を上げ、一服ふかすプロシュートを見た。
「なぁプロ兄ィ、あんたの最初の『殺し』はなんだった?」
 眉をひそめながら、プロシュートは、口元の煙草を指にはさんで煙を吐く。
「ピアニストだ」
「ピアニスト?」
 反応したのはリゾットだった。リゾットも知らない話らしい。
「仲間を殺された。その報復だ」
「…なるほど」
「ヒュウ、かっこいー」
 メローネが口笛をふく。プロシュートは興味なさげに一瞥して、「はやくキッチンいけよ」とまだ頭を抱えるギアッチョを蹴りつけた。

atogaki

わかってきたこと
うちのメローネとギアッチョにとって
リゾットは安心感で
プロシュートは刺激物である
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